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翌朝オレはトリコロールのマフラーを巻いて駅に向かった。バス停側の改札前で待ってるとバスから千愛里と制服は違うが顔見知りの女子が降りて来た。
「おはよー、、なんで巻いてんの、うける。」
「ばーか、オレんだ。」
ねーちゃんは、千愛里のマフラーを洗って畳んで、ちょうどいいサイズの手提げビニールバックに、ついでに、お礼いれとくよ?と貰ったばかりのバレンタイン横流しハンカチ、も入れてオレに渡した。オレは手提げを千愛里に渡した。
「冬はマフラーだって気づいたんだなー。お。電車来たぞ。行け行け。」
「えっ?!乗らないの?!」
「乗らん。」
目を見開いたあと、ぷっ、と吹き出す千愛里は、ちあちゃん行くよう、と呼ぶ声と怒濤の人津波に攫われていった。
電車を2本見送りいつもの時間に教室に着くと、珍しいことにぴょこぴょこと皆川がオレの席に近づいてくる。
「チョコ貰えた?」
「おぅ、まーな。、、まーねー?モテちまって参ったぜ。食いきれねーから姉貴にわけてやった。」
「ほーん。例えば。例えばだよ、、てづくりとか、」
ゴクリと喉を鳴らしたのは皆川だったかオレだったか、なぜか異様な緊張感が存在している。
「おぅ、は、、そ、そ!トリュフな、生チョコのやつとかだろ!ちょーっといびつだったけど、アレは美味かっ、「はぅっ」
「皆川っ!?」
急に両手のひらを胸の前で重ね心臓を抑えた皆川は、咄嗟にオロツくオレを片手をで制し天井を睨む。
「問題無い。はい。ええ。では。」
ふらふらと自席に戻った皆川は、その後猛然とタブレットに向かっていた。なんか提出課題あったか、、?
それが課題ではなく退廃的文学サークルの腐的な詩作活動だと知らなきゃよかったことを知るのは新歓の部活勧誘で売られた小冊子の存在で、膝から崩れ落ちるをリアルで経験し、高校の3年間も千愛里からのチョコにすがることになった。ガッデム!バレンタイン!
『ハッピーバレンタイン!~綺麗な後輩を愛でたいオレの卒業~:腐々香久山著』
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