ギブミーチョコレート

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2限後の休憩時間にもきゃあきゃあと他クラスから突撃される皆川にオレら非モテボーイズは呪詛を吐く。自席から一歩も動かない豪司は隣席のよしみだと、皆川からキラキラしい手作りトリュフとかいうチョコレートを食べさせられていた。平然と食う豪司に女子どもから悲鳴があがる。皆川がピンクのウサギならチビの豪司は黄色いリスだ。あざと可愛いい×無自覚可愛いい。皆川のおまけの豪司にも女子どもが群がってんじゃねーか?なんであいつまでチョコもらってんだよ。オレがチョコくれてやる必要あったのか?!やってらんねーわ。 「けっ」 「おこ?おこなの?」 「けっ」 「やき?やきなの?やきやきもっちもんちっちー?」 「、、セット、よゆーだなおい。」 「ボクちん料理部だもん。」 「それどういうメンタルよ。勇者か。」 昼休みになってもオレを訪ねる女子は現れない。いやいやまってくれよ。小3から毎年バレンタインは勝ち組だったんだ。放課後呼び出しのパターンか?これは本チョコパターンか? 「レオンー、畑野パイセンとなんか関わった?1組から順に3年が『山岸』探してんぞ。」 ブラバンの太刀川駿(タチカワシュン)が昼練が終わり廊下から駆けこんできた。その手にはピンクのラッピングペーパーが握られていてイラッとする。昼練ってなんだ。ブラバンのくせに昼練ってなんだよ知ってるぞオレは!!ブラバン男子少ないからハーレムなんだろ!!?くっそうらやましい!! 「 知らん。」 「3年の理工のこえー、生徒会の会計の、まぁでも違うんなら、あ、来たっぽい、」 銀色メガネのゴツイ先輩が出入り口近くの女子に声をかけている。その隣の頭一つ背の高い茶パツは見覚えがある。前生徒会長で前バスケ部キャプテンで今年の体育祭で優勝したクラスの応援団長で、つまりカッケー有名人だ。 「山岸ー。ちょっと来てってー。」 ほら、な?と太刀川は、ポンとオレの肩を叩き押し出した。はぁ。人違いなのに行かなきゃならねーって、1年坊主は常に理不尽だわ。のろのろと出入り口まで歩き、ども、と顔をあげるタイミングで5分前の予鈴がなった。 「山岸くん、聖花の3年におねーさんいたりする?」 「は?あ、はい、いますけど、」  「その姉貴の名前って、あっお前今朝の」 前生徒会長の後ろからひょいと現れた金髪は朝の偽ザイルだった。バチっと視線が絡み認知したところで運命の鐘が、じゃなく本鈴が鳴って「放課後待ってろ!」と先輩らは悠然と去って行った。本鈴だぜ焦って走れよパイセン。いやアイツら不良だったわ。 「うわーぉ、来たじゃん、呼び出し、、」 「あれちがくね?ガチボコられ系だわオレ。」
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