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フォーユーチョコレート
「バレンタインの放課後は用もなく教室に居残りたいものである!そうだろう?紳士の諸君!」
椅子に片足を乗せ両手を大きく開くパフォーマンスに唯一皆川がおーっと拍手し、クスクスと何人かが笑い、ちょーめーわくー、と女子の何人かは目をつり上げた。対して男子の反応は薄い。むしろ関わりたくないを全力アピールで目も合わせず散っていく。
「ボクちん部活でチョコもらうんだー。」
「いやいやまってくれよ。セット頼んます!まじで。オレひ弱じゃん!ムリだって!なぁ豪司は?!オレとお前の仲じゃん!一心同体だろ?!な?!」
フルフルとクビを横に振り、帰る、と立ち上がった豪司にすがりつく隙に雪人が出て行くのが見えた。フラグな言い方に突っ込む余裕もない。雪人も突っ込み待ちくらいしろって!それ死亡フラグじゃんくらい言わせろよ!お決まりだろ!イヤそうじゃない。去るものは追わずだ。
「っ、じゃっ、最悪なんかあった時用で、ねーちゃんにお前の連絡先教えっから、「逆。俺が聞く。骨は拾ってやる。」
「、、おぉ。わーった。」
ガタガタと椅子に座り直した豪司に、一先ずほっとした。携帯のデータ操作で座ったままの豪司にオレは口元を緩めた。よしよし。これで一蓮托生だ。
教室は入れ替わり立ち代りでまだ人気もある。どうせなら早く来やがれ!と親指を下に向け、けっ、と舌を出した。残っていた女子がちらちらとこっちを見て、いや、んん?オレをにらんでないかい?!一人が立ち上がってずかずか近づいてくる。こいつ隣のクラスじゃん。ニコリと笑う顔はまずまず可愛い。あれ、アレっすか、チョコですか。やべぇこれオレ様にラブなんじゃ。
「ね。豪くん、ちょっといいかなぁ。」
「はっ?いやいやまってくれよ、豪司は今オレが「山岸ぃ。廊下に先輩来てるっての。早く行かないとボコられんじゃないの?」
「は?」
ばっと振り向くと出入り口を覗きこむ金髪と目が合った。、、合ってしまった。
「ごっ」豪司着いてきてくれ!と向き直ったそこは空席で、教卓でたむろってた女子の元に楽々拉致られていた。絶望だ。
「、、お待たせしまシタ。」
ドナドナをツーフレーズ脳内熱唱しひょっとして豪司拉致開放間に合うんじゃね?と淡い期待を抱いたり、いつも通りツレを待つ皆川がニヤニヤと親指を立てるのにイラついたり、ドナドナの仔牛は市場の意味わかんねーじゃん、むしろ気楽なんじゃん、と羨ましいわ
「お前カバンは?帰るんだろ?」
「え、あ、」
「早くしろよ。オレ次のに乗らねーと乗り継ぎ手間取っから。」
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