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豪司を拉致った隣のクラスっぽい女子がオレのカバンを廊下へ放り投げ、条件反射でキャッチすれば、あとは流れるようにオレは偽ザイルの後に着いて歩き出していた。なにこのコンベア感。そりゃオレは1年だしパイセン怖ーし、特にこの偽ザイルは電車で仲間蹴ってたし、見た目がまず商工で就職メインの3年が金髪って、それはつま
「あ?なんか言ったか。」
「サーセン!なんも言ってねっス!」
もう駅だぜ、いっそ駅まで振り切り改札ダッシュか?行くか?高架下くぐり抜けトンネル暗いよ?あれ?人影まばらじゃ
「、、お前」
「はいっ?!」
溜めた口調と眼力ハンパなく怖ぇーわ、オレ笑えてる?スマイルしてる?媚びれてる?ねぇ誰か
「わーっ。はたのっちー!帰り?マックいこー?」
「あれ?1年?だれ?」
バーンとカバンを振り切り偽ザイルの背中にぶつけたのは膝上20センチスカートをひるがえした巻き髪の紺ネクタイの女子、3年だ。双子みたいなクリソツなもう一人がオレの赤ネクタイをクイっと引っ張り、ばさばさ盛睫毛でパチパチと覗きこむ。咄嗟にのけ反りぐぅぇとヘンな音が喉から漏れた。いってーな、てめえ加減しろよ、と偽ザイルが不機嫌な声でネクタイを掴む女の手を外した。
「、、弟だ。」
「うっそぉ!」
「まじでー!似てなくない?!」
「弟まじ似てない、うそじゃん?まいっか。チョコシェイク奢る、行こーよ!」
「いらん。」
しっしっ、と手つきで追い払うと、わかりやすく頬を膨らませた。はたのっちまたねー、ひらひら手を振り追い越して行く。ちぇー、つまんなーい、バイバイ弟ー。ぜったいウソだって。でも弟いるよ、はたの。で似てない噂ー。まじかー。高架下に響く喧しい声が聞こえなくなって、薄暗いトンネルはまた静まり返ってしまった。うわー、アスファルト濡れてんなぁ、殴られて倒れるときったねーなぁ、もうなんなんだよ、オレが何したっての。気まぐれでちょい早く電車乗っただけじゃん。チョコ欲しいだけじゃん。
「これ。」
「へ。」
ずい、と差し出された質の良い白色の紙袋。取っ手の隙間から見える薄く角張った赤色の包み紙。
「はいっ?!」
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