【二千字掌編】エッセイ 『5万回斬られた男』~福本清三さんを偲ぶ~

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 福本さんがこの世を去っていき、時代劇の灯がまた一つ消えた。令和の時代はどうなっていくのか。けれど福本さんは、俳優としての生き方を足跡として残していった。  演技への飽くなき探求心と、人の信頼。斬られ役という光の当たりにくい役柄でも演技を極めていけば、ハリウッドにも手が届く。  遠い昔、あの冷たいの雪解けの季節に、福本さんはこんな人生が待つと思ってもいなかったろう。役で死に、役に生きる。その一途でひたむきな姿は、今も私の瞼の裏に残っている。    <了>
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