また、いつか。

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8月15日。 夏真っ盛りの蒸し暑い部屋の隅で、俺は時代遅れの扇風機を回しながらスマホをいじっていた。開け放った襖から入ってきたぬるい風は、俺にまとわりついてから反対側へと抜けていく。 「くそ……ばあちゃん家、回線悪……」 スマホの画面に表示された読み込み中のマークを見て、そんな悪態をついてみる。しかし、当の家主はもうおらず俺の言葉は虚しく部屋に吸い込まれていった。 ……俺は昔からばあちゃんっ子だったらしい。 父さん母さんが忙しい時、俺は決まって田舎のばあちゃんの家に預けられていた。 じいちゃんは俺が産まれる前に死んでしまった。だからばあちゃんは、この広くて静かな家に独りで暮らしていた。 俺が来ると、ばあちゃんは決まって沢山お菓子を買って待っていた。目尻のシワを深くして、いらっしゃい、と笑ってくれるばあちゃんが大好きで、俺は親が忙しくてもへっちゃらだった。 でも、中学に入るとばあちゃんに会う回数はぐんと減った。高校生になってからは部活が忙しく、1度も会っていない。 そんな中。 ばあちゃんが倒れた。 それからはあっという間だった。 父さん、母さんが病院に駆けつけた時には、もうばあちゃんの息はなかった。 ……それが、かれこれ1年前のこと。
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