また、いつか。

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その日は全国大会の日だったんだ。俺の高校生活の全てをかけた試合だった。だから父さんも母さんも、俺が葬式に出ない、と言ったのを止めはしなかった。 結局全国の壁は厚く、1次で負けてしまった。でも、全力で戦ったから後悔はない。葬式ではなく大会を選んだのも後悔はない。 そのつもりだった。 でも、本当は心のどこかですごく後悔していた。 それに気づいたのは、ばあちゃん家を取り壊す、と母さんから聞かされた時だった。 心の隅に追いやっていたばあちゃんとの記憶がこみ上げてきて、ばあちゃんに最後の挨拶ができなかったことが悔しくて。どうしても謝りたくなった。 だから俺は、取り壊される前の家に、ばあちゃんに会いに来てしまった。 慣れ親しんだはずのばあちゃんの家は、まるで知らない場所みたいでどこか他人行儀だった。 俺はスマホを握る手に力を込めた。こんなとこで怖気付いてどうする。しっかりしろ。ばあちゃんに謝るんだろ。 自分を鼓舞して、気が変わらないうちに、つなげる、というボタンをタップした。
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