また、いつか。

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プルルルル、プルルルル…… まるで、普通の電話みたいな音がスマホから響いた。緊張で、スマホを持つ手が震えた。俺、今までどうやってばあちゃんと話してたっけ?思い出せない……どうしよう。 プツッと呼出音が切れた。そして、 「いらっしゃい、樹」 懐かしい、ばあちゃんの声がした。俺は息を飲んだ。 「……ば、ばあちゃん?」 声が上手く出なかった。 「ばあちゃん?って、樹が呼んだんでしょう?久しぶりだね」 ばあちゃんは柔らかい声で言った。ばあちゃんの笑顔が目に浮かぶようだった。 「あ、そうだよな……え、えっと元気?じゃなくて、その……」 完全にテンパっていた。俺は、会話の内容を考えておかなかったことを後悔した。 「樹はどう?元気ですか?」 「あっと……元気だよ、安心して」 ばあちゃんの声で、俺は少しずつ落ち着きを取り戻した。一度深呼吸をする。大丈夫、話せる。 スマホの向こう側で、良かったと笑うばあちゃんの声を聞きながら、俺は本題に入る覚悟を決めた。 「あのさ、ばあちゃん。俺、あの日、ばあちゃんの葬式行かなくてごめん……!」 ずっと伝えたかった一言。胸につかえていた思い。口に出すと、後から後から溢れ出た。 「ずっと、後悔してて。俺ばあちゃんのこと大好きだったのに、なんで行かなかったんだろうって。高校入ってからも、会おうと思えば会えたんじゃないかって。電話、とかもできたはずだって。だから、こんな……こんな……」 「いいんだよ」 俺の言葉を遮るように、ばあちゃんの優しい、でも不思議と力強い声がした。 「樹はあの日、全力で頑張ったんだろう?それなら、ばあちゃんも嬉しいよ。そりゃあばあちゃんも樹に会いたかったけどさ。でも、あんたが元気でいてくれたら、それでいいんだよ」 ばあちゃんはゆっくりとそう言った。一言一言が俺の心に響いて、少しずつ溶かしていった。 「ばあちゃん……」 「何だい?」 「あ、りがと、う。本当に、ありが、とう」 気がつくと俺は情けないくらい泣いていて、自然に出た感謝の言葉も、嗚咽交じりで聞き取りずらかったと思う。 「こちらこそ、ありがとうねぇ」 そう言った、ばあちゃんの声も震えていた。
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