また、いつか。

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突然、スマホがピピッと音を立てた。驚いて画面を見ると、残り30秒、と表示されていた。 「そんな……いやだ、もっとばあちゃんと話したいのに……!」 俺はスマホの画面を見て絶望した。これが終わったらばあちゃんとはもう二度と会えない。 「樹、もうお別れなんだね」 「そんな……嫌だよ、もう会えないなんて!」 俺は、年甲斐もなく駄々をこねるように叫んだ。 「そんなことないよ、樹。ばあちゃんはずっと、樹を見守ってるからね」 ばあちゃんの言葉に、俺はハッとした。 「ありがとう、ばあちゃん……またね」 「うん、長生きするんだよ」 そこで、電話はプツッと切れた。 畳には涙でシミができていた。 俺はスマホを握ったまま、しばらく部屋の隅でぼーっとして、それからまた少し泣いた。
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