あなたのそばにはいられない

第一恋の章・詩・

「・・・あなたのそばにはいられない」

あなたの目の前に気流の波が発生しましたね
そろそろ気流に乗る船が到着しますよ

やっと、ここまできましたね
苦労して苦労して寝る暇も惜しんできましたものね

後　一息ですよ
気流船に乗って上へと上っていけば
いいだけですものね

あ！
下り船も来ましたね

ほとんど同時にあなたの乗る港に着きそうですよ

昇り船から誰かが手を振っていますよ
とても嬉しそうですよね

あ！
下り船の方でも手を振っていますね

・・・いや、あれは　助けを求めているみたいです
・・・顔が歪んでいます
・・・哀しそうです　苦しそうです
・・・見ていて涙が溢れるくらいに必死ですね

そういう間に　昇り船が到着しました
さあ、あなたは　この船に乗って意気揚々と気流昇り船に
乗ってください

どうしたのですか？

え！　
下り船にあなたの知り合いがいるんですか？

ほうっておきなさいよ

これは運命のようなものですから
あなたの運は　昇り船
彼の運命は　下り船
それだけのことですよ

待ちなさい！　
そっちにいってはだめです
あなたの乗る船は　こちらです

私は　叫ぶ

あなたは　
下り船に乗っている友を助けようと
走り出していく

もう戻れないんですよ
一つ手前の駅で降りても　ここにたどり着くまでに
また　苦労を積まなければいけないのですよ
もしかしたら　
今まで以上の苦労が必要なのかもしれないんですよ

あなたは　私に向かって　寂しい笑顔をみせた

わかっているんだ　全部わかっているんだ
でも　僕には　彼を見捨てることなんて　できないんだ
あなたの笑顔には　そう書いてありました

・・・・そう、あなたはそういう人なんです
・・・・ばかみたいにお人よしで
・・・・あなたは　満足の心かもしれない

・・・・でも　それをみている私は
・・・・切な過ぎて哀しくて

・・・・そばにはいられない

あなたといると
苦しいくらいの焦燥感と
胸が張り裂けそうなくらいの切なさで
押しつぶされて　しまいそうになる
だから
わたしは　あなたのそばにはいられないのです

～ 了　～