チョコレートライン

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 次の日の夜、環奈は美咲の作ったチョコレートを食べていた。  でも、甘いはずのチョコレートが、しょっぱい。  オンラインで繋がっていても、わからないことはある。  それは、チョコレートを作っている時の気持ちだ。  顔や表情は、そんな人の本音を隠すこともある。    ──寝不足はこれだから困るよね。ついうっかりしちゃうよね、美咲ちゃん。  そんな思いが込み上げてくる。  袋には手紙が入っていた。それは取り出し忘れたラブレターだ。 「好きです、付き合ってください」とシンプルに書かれた手紙。  どんな気持ちで動画を見せていたんだろう。  そんな思いで胸がいっぱいになる。  環奈は一人で泣いていた。  ラブレターの宛名は『池田君へ』  差出人は『美咲より』    美咲の作ったチョコレートのイメージは流れ星。  それは環奈の心の中で、優しく溶けた。 〈終〉
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