芹沢優子

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「すみません……変な声出しちゃって」 「え……あ、いえ」  私は立ち去る前に、彼に一礼をすると、休憩室を後にする。  何だか、あんなに悲しそうな声を出されると、最後の一つを買ってしまった自分が罪悪感で埋め尽くされそうだ。きっと、彼も仕事を頑張るためにカフェオレを飲むのだろう。何だか申し訳ないな。  私は休憩室を影から覗き込むと、彼は私が座っていた椅子に座って項垂れていた。 「カフェオレだけで……」  私は思わず声に出してしまうと、急いで口を塞ぐ。彼が後ろを向いて、また目が合った。彼はまた苦笑いを浮かべると、私も苦笑いを浮かべて頭を下げる。私は彼から視線を反らし、休憩室の外の壁に寄りかかると、溜息を吐く。あんな姿を見てしまうと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
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