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「ねえ見てこれ、オンラインペット始めたんだ」
スマホには室内の映像が流れている。部屋の左端には小皿に入った水と餌が並べられていて、逆側に三階建てのキャットタワーが配置されていた。その最上階で毛並みの良い太った猫が目をつむってくつろいでいる。
「あー流行ってるみたいだね。ちょっと気になってたけど私はどうにも」
「なんで? 時々スマホ越しに見るの楽しいよ」
「んーなんていうかさ、やっぱ実物触りたいじゃん」
「……マジ?」
友達の意外な発言にひいてしまってから気がついた。あ、これは勘違いしているな。
スマホに二本指を当てて広げると、映されていた映像が縮小されていく。すると一人のおじさんが薄暗い部屋で、モニタに映された猫の動画を眺めている様子に切り替わった。
そう、私が飼い始めたのはオンラインキャットではなくてオンライン子供部屋おじさんだったのだ。
「ごめんごめん」
勘違いさせたことに謝りながら再び画面を見せる。
「だからオンライン子供部屋おじさんでしょ? やっぱ見るだけじゃなあ」
「は? 知ってて触りたいとか言ってたの? 趣味悪!!」
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