01 生き延びるための絵

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「……これが、そのAI?」 「左様。私が自動執筆AI『コギト』です」  狩野を指差し問い掛けるひのとに返答をしたのは、猛禽の方であった。洋画吹替の如き声に、ひのとが驚き身をすくめる。 「喋れるんだ!」 「八色電工のAIとは、そういうものなのです」  狩野の声がこころなしか弾んだ。 「そう、それで……相馬さんにこうしてお会いしているのには訳があって……」 「そこから先は、私が説明します」  コギトは一度両翼を伸ばしてから、それを再び折り畳んだ。羽根を広げたときにそれが鳥籠に触れ、かしゃんと音を立てた。 「籠から出したげなよ」  自由の身となったコギトはひのとに礼を述べてから羽ばたき、卓上に飛び乗った。 「どういたしまして……キミも食べる?」  ひのとはバニラフロートをまたひと匙掬い、コギトの眼前に差し出した。首は背けられたが、スプーンが収められると彼はまたひのとを見据えた。 「死ぬ前に貴方にお会いしたがっていたのは、実は私の方なのです」  拒まれたバニラアイスを口に含んでから、ひのとは眉をひそめた。 「キミ……いま、『死ぬ』って言った?」 「申し上げました」
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