## 04 Robbie the Sitter

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### 2 「本日は世界中で話題のあるオートマトンについて取り上げます」  モニタでは澄ました顔のコメンテータが語りかけていた。 「なんと彼は夭折した子のために、自ら命を断つと宣言しています。何が彼をそう思い立たせたのでしょうか?――私達は彼とコンタクトを取ることに成功しました」  画面が切替わると、薄暗い玄関を背にしたオートマトンが映し出された。旧型の外見でひと目で人間ではないと分かった。場馴れしていないオロオロとした様子だった。  「いえ、何も大層なことをするつもりではないです。教えに従い、祈り、そして浄土に向かうだけです――」  ノイズが多い発声だった。ハードウェアが最新の言語APIに対応していないようだった。その映像にオーバレイされる形で、再びコメンテータが現れた。 「今回の注目ポイントは2つあります。1つ目は、オートマトンが自殺するというのは史上初だということ。2つ目は、殉死という古い宗教観に沿って行動しているということです。皆さんもご承知かと思いますが、そもそもオートマトンとは――」  そこで映像が終わった。 「もういいわ――」  隣に座るナギが通信を遮断したようだ。 「それで――私達にどうしろってことなの?」  課長のケンモチから呼び出された私とナギは、ロビィの自殺宣言とその後の経緯について説明を受けていた。 「そのロビィってオートマトンは正常よ。バグや暴走は見受けられないわ」  ナギの言葉には「私達の管轄ではない」――そういう意味が込められていた。 「私も単独の案件としては無視して良いと思っている。オートマトンの自殺することなど――不可能だからな」  ケンモチはちらりと私を見た。 「しかしながら、この自殺宣言がメディアに取り上げたことによって、それに呼応するかのように古臭い宗教がもてはやされ、ロビィが神格化されている。それにかこつけて、何かにつけて騒ぎを大きくしたいだけの連中が、騒動を起こしている。仮想とリアルの両方でだ」 「先日も集団で踊るように祈りを捧げる団体が、警察に鎮圧されていましたね」  私は昨日のニュース記事を思い出して発言した。 「そういうことだ。これは我々としても無視することはできない」 「そして、内務省の上層部からも、きつめのお達しがあった――ということかしら?」  ナギが確認した。 「そのとおりだ」  ふぅと、ナギはため息をついた。 「この集団ヒステリを止める必要があることはわかったけど、どうしろっていうのよ。何か考えるはあるのかしら?」 「それを考えるのが君たちの仕事だろう」 「あきれた」と、ナギは肩をすくめた 「オートマトンの自殺に関わる案件だ。お前たちが二人が適任だろう」 「目的のためには――いかなる手段でもよろしいでしょうか?」  ナギの問いかけにケンモチは力強くうなづいた。
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