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「うおー、うまそうじゃん」
紙箱の蓋を開けるなり感嘆の声を漏らす治史を、忍は画面越しに微笑みながら見守った。
ビター、ミルク、ホワイト、キャラメル。
箱に詰まった4種類8個のチョコレートが、忍の目の前でもカカオの香りを放つ。
「ありがとなーまじ嬉しい。じゃ、いただきます」
「あたしも食べよ。めっちゃかわいい〜おいしそ〜」
タブレット端末の画面の向こうで恋人がチョコレートを食べ始めるのを確認して、忍も自分のぶんをひとつ、つまみ上げる。
かりっ。
上品な歯触り。甘く香ばしいチョコレートが、それぞれの口いっぱいに広がった。
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