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タブレット端末の電源をOFFにすると、忍は目頭を揉みほぐし、うーんと大きく伸びをした。
立ち上がって冷めた紅茶の残りを流しに捨て、スマートフォンの通話履歴から呼び出した相手に電話をかける。
「もしもーし、お待たせー」
「もう終わったの? 早くね?」
「終わった終わった! っていうかウケるんだけど、あっちも女いたよ」
「うお、まじか」
「自分がふったつもりなんだよ、笑えるよね」
「え、じゃあ完全にもう終わったってこと?」
「うん。別れた。きれいさっぱり」
ほどなくして、玄関のチャイムが鳴る。
軽くメイクを直した忍がドアを開けると、かぐわしい香りが鼻をくすぐった。
目の前に、とりどりの花束が突き出されていた。
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