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第一章 優しく出来ない
「いらっしゃいませ。いつもの、どうぞ。」
バイト先の喫茶店で常連のアノヒトが、いつものメニューを頼む。安定のショートケーキと紅茶だ。
「最近、冷たいですね。寂しいな(。・_・`。)」
伏せ目がちで零したアノヒトの言葉。
「そんな事ない。いつも通りです。」
「いつものメニューだけど、君はいつも通りではないよ。・・・頂きます・・・。」
お互い敬語で、だけど少しタメ口が混ざって心が近くなった今日この頃。
この関係が居心地いい日々だったのにアノヒトが僕を「冷たい」と言った。実際、僕はアノヒトに最近ずっと冷たい。敏感なアノヒトは直ぐに気づいて、傷ついてる。分かっているのに僕はアノヒトに優しく出来ない。なんとも想って無かった頃の方が多分アノヒトに優しくしてた。好きなんて伝えたところで実らないの分かっているから伝えない。優しく出来ないのは僕の心の葛藤だ。
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