A heart

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A heart

 4月に胸を高鳴らせて迎えた新しいクラス。  去年同じクラスだった友達もいれば、まだ話したことのない人もいた。  何にせよ、高校2年。  充実した高校生活を送るために、まずは新しい友達作りだ。  俺は意気込んで席に着く。  隣には背筋を正した大人しそうな女子がすでに着席していた。  女子は、俺が来たことに気づいているのかいないのか、姿勢を変えずにひたすら前の机を凝視している。  まあ、いいか。いきなり挨拶して引かれても嫌だし。  次に友達に話しかけられるまで、俺は何も言わずにしばらく教室内を眺めた。  思えばこのときから彼女は他の生徒とは少し違っていた。  明るく楽しく話をするクラスメイト達とは対照的に、頭から爪先までピンと張った精神は微動だにせず、出欠の確認で新しい担任に自分の名前を呼ばれるまで、彼女が口を開くことはなかった。  大人しい、というだけではないような、異様なほど静かな様子に、当時の俺は少しだけ違和感を覚えた。
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