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今回の叶夢の、壮大な計画の意図。
それは、学校や世間に対する"復讐"ということなのか。
でも、そんなことをして何になる?
私は別に親や教師に恨みなんてないし、学校も楽しい。友達もいる。そりゃあ受験勉強が苦で、一時的に死にたくなるまで気分が落ちることはあるけれど、本当に自殺をしてまで全てを終わらそうなんて思わない。というか、怖くて到底できそうにない。
私には叶夢や露香たちの気持ちが、全く理解できないのだ。もちろん彼らには幼少時代から壮絶な体験があり、それによって精神を病まされ、自殺願望にまで駆り立てたのかもしれない。
しかし仮にそうだったとしても、恐らくは生きていたい側の私たちまで巻き込んで、みんなを"犠牲"にするなんて、間接的な"殺人"になると言っても過言ではないのではなかろうか。
そんなことは許されないし、絶対に自殺する側に流されてはいけないだろう。
ただ臆病な私はここでも何も言葉を発せず、誰かが止めてくれるように心の中で願うことしかできないでいた。
「そんなの嫌よ!私はまだ死にたくない。2学期になっても、学校には来たいわ。それに今、私幸せなの。みんなも知ってるだろうけど、直哉とラブラブなのよ。だからそんな計画には乗らない。あなたたちだけでやったら?」
叶夢が提案を"復讐"に加速させてから最初に反論したのは、クラスの女子でいちばん可愛い貴船海宇だ。彼女と付き合っている、蔵前直哉も背が高くイケメンと評判。彼らは、クラス公認のラブラブカップルだった。
「いいぞ海宇。そうだよな、俺たち昨日もキスしたり手ぇ繋いで帰ったりしたもんな。叶夢、悪いが俺たちは自殺なんか興味ねぇよ。お前らももっと命を大事にしろよ!」
「もう、恥ずかしいじゃない。でもさすが直哉、いいこと言うね」
「ヒューヒュー!」
イケメン美少女カップルの"じゃれ合い"に、野次馬が冷やかした。
そうだよ、直哉。いいこと言うじゃん。命はもっと大切にしなくちゃ、だよね。
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