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「フン、いいなお前らお気楽そうで。まあ"発案者"の俺も、いきなりの誘いだということは重々承知している。最初から全員が"死にたい側"に向かうとは、まるで思ってない。そこでだ、今回のこの計画に"ルール"を設けることにした」
「ルール?」
なおも一方的なペースで自らを"発案者"と名乗る叶夢に、洸一が聞き返した。
「ああ。まず、現時点で自分が"生きたい側"の人間なのか、それとも"死にたい側"の方なのかを、帰りのホームルームまでに考えてほしいんだ。そしてどっちの票に入れるか、全員分の決をとる。選択肢はその二択しかないから、中途半端に死にたいくらいの気持ちだったら、"生きたい側"に投票してくれ。そんな程度の覚悟で自殺されても、こっちも迷惑だからな。それから今後の話だが、この投票は今日を除いて毎週金曜日の昼休みに行う。次は6月24日の金曜で、7月15日までの4回と、最後に7月20日の終業式にも父母ヶ浜に集まってやる予定だ。つまり投票は計6回行うわけだが、この最後の終業式の時点でクラスの3分の2、すなわち20人が"死にたい側"に投じたことを確認できた時、俺はクラス全員での集団自殺を決行しようと思う。仮に、終業式に10人"生きたい側"が残っていても、そいつらも8月31日の決行には強制的に参加させる。多数決で負けたわけだからな、ある意味これは"連帯責任"だ。"死にたい側"に投じるということは、他の"生きたい側"の奴らの命の権限まで左右するって仕組みだ、慎重に考えてくれよ」
「何だって?そんな無茶苦茶なルールあるかよ。全てお前が勝手に決めたことだろ?いや、ちょっと待て。じゃあ逆に、終業式の投票で20人"死にたい側"に集まらなかったらどうだ?例えば19人とか。そうなったら、自殺はやめるのか?」
独断ルールを好き放題語る叶夢に、またも洸一が突っかかる。
すごいな、洸一は。こんな状況でも冷静な判断ができて。私はあまりにも叶夢が早口で話すので、正直頭の整理が追いつかないというのに。
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