3人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
「そうだ、この前の土日に大分県へ旅行に行ってきたんだが、その時のお土産にお菓子を買ってきた。『ざびえる』という銘菓だ。バターが効いてて甘くておいしいから、受験勉強の息抜きに食べてくれ。ここに置いておく」
そう言って若水先生は、教卓にお菓子の箱を置き、教室を出ていった。
「何今の。超かっこいいんだけど!相変わらず優しいわあ、若水先生。桧月、せっかくだからお菓子貰おうよ」
「あ、うん」
面食いの芹沙が、惚気るように先生を褒めた。私は『ざびえる』を一つ取り、早々と袋を開けてかじった。
「うんま!何これ、スイートポテトみたいな甘さ!」
「本当おいしいね。若水先生、最高だなぁ。担任でよかった」
芹沙ほどではないものの、かっこいい男性がタイプの萌奈も、若水先生には好印象だ。
朝っぱらからおいしいお菓子を食べれて幸せ。
今日はいいことがありそうな予感!
だがこの日の昼休み、クラスの雰囲気は一変するのである。
ある一人の、突拍子もない"発言"によって……。
最初のコメントを投稿しよう!