Chapter1   激動

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「そうだ、この前の土日に大分県へ旅行に行ってきたんだが、その時のお土産にお菓子を買ってきた。『ざびえる』という銘菓だ。バターが効いてて甘くておいしいから、受験勉強の息抜きに食べてくれ。ここに置いておく」 そう言って若水先生は、教卓にお菓子の箱を置き、教室を出ていった。 「何今の。超かっこいいんだけど!相変わらず優しいわあ、若水先生。桧月、せっかくだからお菓子(もら)おうよ」 「あ、うん」 面食いの芹沙が、惚気(のろけ)るように先生を()めた。私は『ざびえる』を一つ取り、早々と袋を開けてかじった。 「うんま!何これ、スイートポテトみたいな甘さ!」 「本当おいしいね。若水先生、最高だなぁ。担任でよかった」 芹沙ほどではないものの、かっこいい男性がタイプの萌奈も、若水先生には好印象だ。 朝っぱらからおいしいお菓子を食べれて幸せ。 今日はいいことがありそうな予感! だがこの日の昼休み、クラスの雰囲気は一変するのである。 ある一人の、突拍子もない"発言"によって……。
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