Chapter8   救世主

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挙げ句の果てに自分自身にも自殺願望が芽生え、"相棒"の翡翠とも死についての欲求を共感し合い、今日の決行へと参加する。 私はまだ14歳だ。明日9月1日が15歳の誕生日だが、今日死ぬため15歳を迎えることはできない。 女性の平均寿命は約90歳と長く、私はその6分の1程度で人生の幕を閉じる。きっと未知なる希望が、楽しい高校生活が、本当は待っていたのかもしれない。その全ての可能性を、私は今日一瞬で放棄する。2年半苦楽を共にした、級友たちと一緒に。 これでいいんだ。不良グループのように、学校や社会に恨みなんてないが、苦しみから逃れられるのは事実だから。この計画を止めるつもりで頑張った労力が全く報われず、心底疲れきってしまった。もう受験勉強もしなくていい、部活を頑張る必要もないんだ。 ぼーっと死に酔っていると、笠折中学校の校門に着いた。 時刻は15時50分。そろそろ行くか。 校内へ入り、階段を上って教室へ向かう。"現場"に近づくと、何やらガヤガヤと騒がしい。既にみんな、集まっているのかな。 ガラッ。 私は勢いよく教室の扉を開けた。  
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