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叶夢の周りには、男女2人ずつの不良仲間が後ろに控えていて、何か嫌な予感がする。つい今しがたまで楽しくしゃべっていた私や萌奈も、一斉に叶夢の方を見た。
「いつも外で遊んでた男子には悪いが、今日はどうしても話したいことがあったんで全員教室にいてもらった。さっき若水からも朝話があったが、受験勉強についてだ。お前ら最近、疲れてそうに俺からは見えるぜ?顔色悪い奴がいたり、否定的な話が聞こえてきたりな。まあ最も、俺たち5人は高校に行く気すらないから、完全に勉強は放棄している。ぶっちゃけ学校に来ること自体、面倒だ。お前らにはわからんだろうが、授業もつまんねえし学校生活を楽しめてない。そこで俺は考えたんだ。夏休みを遊び呆けたあと、2学期が始まる直前に"死んでしまおう"ってな」
「何だって?死ぬってお前、そんな簡単に言うなよ」
叶夢の爆弾発言に、いち早く反応したのは爽やか好青年の中屋敷洸一だった。彼の目は真剣に怒っているように見えた。当然である。人生がつまらないからだか何だか知らないが、自分だけさっさと死のうなんて、そんな無責任なこと言うな、できもしないくせに____と、私は感じた。
他の生徒たちも叶夢を心配するように、やめろやめろと喚いた。が、彼は全く動じずに続けた。
「まあ静かに、落ち着いてくれ。そう思っているのは、俺だけじゃない。後ろの4人にも"自殺計画"を話していて、こいつらも既に"賛同済み"だ。だから今の時点で、少なくとも俺たち5人は集まって8月31日に自殺する予定を企てている。嘘じゃない、本気だ。こんな世の中、くそ喰らえだ。なぁ?」
相変わらずの無茶な発言を繰り返す叶夢が、隣の不良男子に同意を求める。
「ああ。俺も颯介も、叶夢と同じ意見だ。どうせ荒れた青春、生きてたっていいことなんかねぇ。夏休み中タバコ吸い放題吸って、とっととあの世いきてえよ」
「あたしも。なんか面倒くさいんだよね、何をするのもさ。どうせ家族にも嫌われてるし、いなくなってもどうってことないっしょ」
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