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「そうですか。ここも立派なマンションですねえ。まあしかし何事もなくて何よりですが、そのドッペルゲンガー的な女性のことですが……その話をもう少し聞かせてください。あなた、結構切羽詰まったようなお声でしたので、参考のために」 「さっきも言いましたように、彼女、最初はちょっと変わった感じでしたけど話してみると普通の女性でした。 失礼ですよね、都市伝説みたいにドッペルゲンガーなんて。ましてや薬の服作用だったにしても警察に通報まで……クリニックの院長先生にまた叱られてしまいます」 「彼女はしばらくここにいたんですか?」 「ええ、居心地が良かったらしくて一ヶ月ほどいました」 「見ず知らずの人を一ヶ月もですか」 「私が居たいだけ居てもいいと言ったんです。昔から病気のせいで、一人も友達がいなくて寂しかったので── 彼女とはいろんな話をしました」 「そうですか。しかし高口さん、お見かけしたところは顔色も良くお元気そうで、病気を患っていらっしゃるようには見えませんけどね」 「え……そうだとしたらそれは彼女のおかげですね。本当に彼女は良い話し相手になってくれましたから」   「で、彼女は出て行ったんですね」 「ええニ三日前に。ここに飽きちゃったのか、もう帰ると言って急に出て行ったんです。仲良くなれたと思っていたのに、全く気まぐれですね。それからとても寂しくなって、つい薬を多めに飲んじゃって、知らない間に通報なんてしてしまったんですね……もう誰もいなかったのに。お恥ずかしいです。本当にご迷惑をおかけました」 「いえ、何もなかったのは何よりです。何かと物騒ですから、くれぐれも気をつけてくださいね。それと念のために申しますが、知らない人を部屋に入れるなんてことはしないほうがいいですよ。それでは長々とお聞きしましてすみません。これで私は失礼します」 「本当にお騒がせしてすみませんでした」  
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