お世話になります、小鳥先生

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 コルムはニッキーに改めて言い聞かせる。 「瓦礫を片付けて、部屋を掃除すること。ああ、作業中に雨が降るかもしれないから、家の中が濡れないようにしてくれよ。魔封じの暗示を維持していれば何をしてもかまわない。何日かかってもいい。魔法を使ってもいい。まあ、そうでなければ終わらないだろうからな」  ニッキーはそっと瓦礫の山を見た。小さな家だったとはいえ、どう見ても、八歳の少年が一人で片付け切れるようなものではない。それは、彼にもよくわかっただろう。  それでも、ニッキーはうなずいた。母に苦労をかけ、兄に苦労をかけてきた自分を変えたいと、切実に願っていた。 「わかった。おれ、やるよ」 「よく言った」  コルムは、ニッキーの額に再び翼をかざす。先ほどと同じ紋様が浮かび上がった。ニッキーは眉間に深い皺を寄せながら方向転換し、瓦礫の山へと向かう。まるで綱渡りでもするかのように慎重に歩いているので、よほど維持するのが難しいのだろう。いくらも行かないうちにまた、ぱりん、と音がした。早くも魔封じが解けてしまったらしい。  先は長そうだ。フレディは大きなため息をついて立ち上がった。弟に手を貸そうとしているように見えたらしく、コルムが右の翼をつき付けて来た。 「おい、手出しはするなよ。これはあの少年のための修行なのだから」 「なんだよ。食事の用意もするなって言うのか?」  これには、コルムは嬉しそうに羽ばたいた。 「いいや、素晴らしい発案だ。君は料理が得意なのか?」 「得意ってほどじゃないけど、まあそれなりに。食えるものは作れるよ」 「それは良い。実に良い。夕食は肉がいいな。街に行くのなら鶏肉を買ってきてくれ」 「共食いかよ」
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