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渦巻く倦怠感に、度々のみ込まれそうになりながら頭をあげて通話ボタンを押す。
やっとのことでベッドの上に引っ張り上げたパソコンの画面は毛布に沿って斜めに傾いている。もはや気にする気力もない。
感染症の疑いがあるかも、というネット上の意見を参考に初めてオンライン診察を受けることにした、けど。
「仮病ですね」
「へ?」
ケビョウです、とお医者は繰り返した。
ケビョウ? ケビョウって、仮病?
ぽわぽわした感覚が座っていても足元を揺らす。
この医者、深夜だからって疲れてるのかな、それともオンライン診察は身が入らないのかな、ん?
垂れてくる鼻水に耐えきれず片方ずつティッシュを詰め込むくらいだ。明らかに熱もあるな、あれれ。
「あ、いっけない忘れてた。ええと、お名前と生年月日をお願いします」
「福田ミコト、1992年3月4日です……じゃなくて! あのお、病名って」
「仮病です」
ええっ、と重い瞼をなんとか見開こうと持ち上げる。
力を入れようとするほど筋肉が緩んでいく。明らかに私には熱がある……あ、同じこと二回も考えちゃった。
治まらない蕁麻疹も服が擦れるだけで掻きむしりたい衝動に駆られるのに、仮病って。
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