冷たい冬。

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 告白の時に「好きだから付き合って」と言われて付き合ったけれど、私の好きと彼の好きの熱量が釣り合っていない気がする。私の好きが100だとしたら、彼の好きは30くらいとか、私が重すぎる気がする。  こうして一緒に帰っているだけでも私の心音は激しくなっているが、彼は極めて平静としている。隣にいる彼を見ると嬉しく思う気持ちが湧くが、勝手に悲しくなる自分がいて何でか泣きそうになる。 「高槻、何で泣いてるの。なんか気分悪くなった?」  そんなことを思っていたからか、本当に涙が出て来たようだ。高野くんに言われて気がついたが、顎に伝うくらい涙が出ていたみたい。高野くんはポッケからティッシュを取り出して甲斐甲斐しく私の頬を拭ってくれる。  自分の涙に感情がついていかなくてぼーっとする思考の中、高野くんの無防備な手が寒さで真っ赤になっていることに気がつく。手袋を外してその手に触れると冷たさがじんっと私の手に移ってくるが、彼の優しさが一緒に入り込んで私をを温かくした。 「ごめん、寒いよね」 「ううん、それより高槻は大丈夫?」 「うん、大丈夫。ありがとう」
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