修理

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… あれから一週間が経過した。 まだ状況に進展は見られない。 サドナちゃんにしてみれば頼みの綱が切れて だいぶショッキングなのは間違いない。 生存したらしい博士も行方不明のままだ。 メリエロと一緒に元気を出すよう 励ましながら生活を続けた甲斐もあり、 徐々にだが落ち着いてはきている。 本部からの援軍を引き連れる作戦は 残念ながら中止になったが、 目的を見失なったわけではない。 当初の目的である 敵のロボットを撃破をしておかないと そのうち不味いことになるかもしれない。 手始めにするべきことは この沈みきった暗いサドナちゃんを 早いところどうにかしてやらないと……、 そう考えを巡らせていた時だ。 ピンポーン。 誰だ? この日も宅急便なんて一件も 頼んでないはずだが… シオンか? インターホンの連打は無い。 お客さんなんてどこのどなたーだ、ほいよっと。 ドアを開くと見知らぬ老人が一人。 「フォフォフォ…、突然押しかけてすまんのう。 ワシは アスター博士という者じゃ。 レーダーが印したこの家にアンドロイドが お邪魔しとるはずなんじゃが…。」 「え? アスター博士っていえば まさか、話にあったあの… 」 声を聞いたサドナちゃんが 猛ダッシュで玄関に向かってきた。 「ア、アスター博士!  よくご無事で…、本当に、博士だ…。 博士がこの星を探して この場所まで来てくれたんだ…!」 サドナちゃんは喜びのあまり 博士に抱きついていた。 感動の再会ってやつだな。 おじさん涙腺が緩くなりがちだから 目から透明な液体が滲み出てしまうね。 よし、彼のおかげでサドナちゃんが まるで水を得た魚のように元気に明るくなったぞ。 「相変わらずじゃな、SSD177よ。 甘えん坊で手のかかる子じゃ。 ワシならこの通りピンピンしとるわい。 しかしな…、無線で話した通り 本部は跡形も無く全部無くなってしもうた。 積もる話もある、立話もアレじゃし 家の中に上がってもいいかの?」 「どうぞどうぞ、汚いところだけど 上がってもらっていいですよー。」 俺は気を利かせて茶と茶菓子を アスター博士に用意することにした。
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