テニス部戦争 第四夜 もっともしょうもない戦争前編

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テニス部戦争 第四夜 もっともしょうもない戦争前編

 そんなこんなで、テニス部は時を重ねていきました。  その間にオカダは丸くなり(最初にかましたのでしょう)、わたしたちは最終学年へと進級しました。  オカダの恐怖が薄れ三年生になったということは、でっこ軍団はどうなったのでしよか。 「ホームラーーーン!!」  のびのびと遊んでおりました(・∀・)  年数は人を変えます。  もんもは順調に部長となっておりました。ガチ勢として、新井っちょ、沖くんなどが今日も汗を流しておりました。  その横で新たな変化球を生み出そうと頑張るでっこ軍団。  そう。もんもはこの2年で我々という存在を諦めることとしたのでした。  ボレーの練習に勤しむガチ勢(と、普通の部員)。  満塁ホームランを狙うでっこ軍団。  サーブ練習に勤しむガチ勢(と、普通の部員)。  ナックルを投げられるようになったでっこ軍団。  もう、各々好きに生きるようにしよう。袂を分かち合った、もんもとでっこ軍団。  たまに打球が真面目に練習しているテニスコートに飛んでいき、本気でしゃもがもんもに殴られたりもありましたが(・∀・)    さあ、お互い好きに生きればそれで解決かというと、そうではないのが人生というものでございます。  ガチ勢のテニス部。  そしてテニス部に所属し野球の腕を上げているでっこ軍団。  このどちらにも平等にやってくるものがあります。  試合です。  中体連は誰にでもやってくるのです。  ある日、わたしたちをとうに見捨てたもんもが、冷めた目線で近寄ってきました。  思えば、我々よりぐっと逞しくなった気がします。  なんと例えれば良いでしょう。  ワンピースで言えば、この時点でもんも率いるガチ勢はグランドラインの後半、新世界を旅する海賊軍団。  でっこ軍団はいまだイーストブルー。ニコ・ロビンとかともまだ出会っておりません。  そんなレベル差でございます。 「おい、お前ら」  久しぶりに怒られるのだろうか。ピリリとした空気に包まれました。 「最後くらい頑張れよ」  それはもう、ずしんと突き刺さる一言でした。  大きな正当性に声を出せないでっこ軍団。   三年生になったでっこ軍団は、もはやプラスチックバットを持参して普通に野球をしておりました。それどころか、『誰でも投げられる変化球ボール』なる商品をみぞこが買って持ってくる始末。  その黄色いプラスチックバットと変な形をしたボールがでっこ軍団の足もとに転がっております。  自責の念に駆られたのでしょう。わたくし、そっと足で変な形をしたボールを後ろに蹴り転がそうとしました。  3色パンのようなデコボコのボール。さすがに足もとにあるのが恥ずかしい。わたしはせめて、その『誰でも投げられる変化球ボール』だけは隠したかったのです。  足の裏で後ろへ大きく蹴りました。  でも、さすが『誰でも投げられる変化球ボール』です。不規則なバウンドをして、まさかの一周。そのまま、もんもの爪先に当たってしまいました( ・ω・)  ザ・シュール 「何やこれ?」 「ん? んと、んー……誰でも投げられる変化球ボール……」 「そっか」  ザ・シュール    どうする?  みたいな表情でお互いの表情を探るでっこ軍団。どう考えても、ここは「そだね」「よっしゃ、もんも、すまん」と、本気でテニス部に加わる場面ですが、なにせサボりまくったでっこ軍団。その辺の感覚すら忘れてしまっておりました。  もじもじするでっこ軍団。  と、ここで救世主が現れました。  ガチ勢でもんもに次ぐ実力と、今で言うキンプリの平野紫耀くんのようなイケメン新井っちょが、ここに加わってきたのです。 「チョロくん、いわっちょ、テニスやろうぜ」←超爽やか  そう、でっこ軍団に所属しつつ(遊びたい盛りのため)、わたしといわっちょは実はガチ勢とも仲が良いのでした。 「うん、やるーヽ( ・∀・)ノ 」  テニスコートになだれ込む遊び人軍団。  いつも遊んでる先輩たちの練習参加に戸惑う後輩たち。  助っ人外国人のフォームでテニスボールを弾き返すでっこ。  パワーはジャイアンばりのみぞこは強烈なレシーブを見せるも、すべて飛びすぎてアウト。  そこそこの運動能力があるわたしといわっちょは、そこそこに。  運動能力がない上にテニス野球しかしてこなかったしゃもとみさこうは、生まれたての仔鹿のように。  でも、なんだかんだでここからでっこ軍団は中体連に向け、改心したのでした。  …………いや、人間、そんなに上手いこといきますまい。  2年まるまるサボりまくった軍団でございます。  そう簡単に真面目になれるはずがない。  熱い情熱に100%移行できるわけがない。  練習に取り組み始めてからわずか3日後、わたしたちでっこ軍団ともんもとの戦争が始まってしまうのです。 「ホームラーーーーーン!!!」  でっこ軍団はいつものように、プール裏におりました。  強烈なみぞこのホームランがプールまで飛び、水泳部に迷惑をかけながらハイタッチするクズ集団(・∀・)メンゴ  そこへ、とても低く恐ろしい声が後ろから聞こえてきました。 「……おい」  あら(・∀・)  既視感(・∀・)  プールの壁にもたれ、髪をかき上げるもんも。  だいぶと怒ってらっしゃる模様。  羊たちの沈黙。  この沈黙に耐えられなかったのでしょう。  みさこうが余計な口を挟みました。 「い、今、休憩かと思った。あ、あはは。あは。あは。あはあはのあは」  もんもがブチギレました。   「お前ら、マジで殺す。来い!」  テニスコートへ連行されるでっこ軍団。  2年前から何も成長していないでっこ軍団。  テニスコートに整列させられました。  これが、でっこ軍団の乱の幕開けとなるのでした。  ここからしょうもない戦争をでっこ軍団が起こすことになります。 第四夜、おしまい  
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