0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
「えーーこの問題の解き方はですね。ここの公式を使って---」
授業を解説する教師の声が聞こえる。
それを聞いてる僕の体勢はと言うと、寝転がってお菓子を食べながらというものだった。
しかし教師からの怒号が飛ぶことはなく、他の生徒から奇異の視線も感じない。むしろなんの反応もなく、この行いがむしろ正当化されているかのようだった。
それもそのはずで、この場は家で学校の教室ではない。
教師は目の前におらず、画面の向こう側である。
コロナ禍で学校は閉まっており、授業は全てオンライン化、学生の声も姿も届かず、授業する教師の声だけがこだましている。
普段ならできない学校のルールを破るような行為を楽しめながら自由な態度で授業を受ける。
普段出来ない事への挑戦による背徳感で気分は高揚していた。
ただ、同時に虚しさもあった。規則を破っているのに監視の目がなく、注意も無い。
どこか達成感のなさもあった。
これからこんな生活が続く、でも学校に行けるようになるなら、その時は学校で同じ行いをしてみたいと思う。
最初のコメントを投稿しよう!