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僕は昔から引きが強い。って、いうか、人生を左右する岐路に立った時の引きの強さは神ががっている。 今の彼女を引き当てた3年前、精神的にはドン底だった。だが、彼女だけが僕の精神的支えになってくれた。おかげで、今では笑って生活出来るようになった。そして、先月プロポーズ。もちろん彼女からは“OK”の返事。友達も、まるで自分の事のように喜んでくれた。 さて、どうしたものか? 人生最大の岐路に立たされ、僕は思案する。 目の前に下がる3本のロープ。 2本は死に直結する。 もちろん、1本だけを選ばなければならない。 右、真ん中、左……1本づつ視線を巡らせた。 と、その時、頭の中に彼女の声が響いた。 (真ん中……) 僕は躊躇なく真ん中のロープへ飛び付いた。と、同時にスルスルと上がって行く。 穴から頭を出したとたん、大きなハンマーで殴られた。 「やったー!」 「おおー!」 「パーフェクトじゃん!」 子供たちの無邪気な声を薄れて行く意識のなかで聞いていた。 最後の最後で彼女の声は僕を助けてはくれなかったようだ。
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