現代 2月12日

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 俺は高2、弓道部、成績は中の上。平々凡々な俺だが、かの有名な織田信長の生まれ変わりである。  俺はどういう訳か前世の記憶――織田信長の記憶を持ったまま生み落とされた。もちろん父親は普通のサラリーマンだし、母親は普通の専業主婦だ。  だから俺は小さなころからチラつくこの記憶の正体がずっと分からなかった。  初めてもしかして、と思ったのは小学校6年生の時だった。担任の先生が記憶の中の俺の顔写真を指さして「織田信長です」と言ったんだ。  そこから先は教科書を貪るように読んだ。資料集も舐め回す様に読んだ。それでも信じられなくて、図書館に行って織田信長関係の資料を読めるだけ全部読んだ。  パズルのピースがはまるように俺の前世は「織田信長」なんだということが見えてきた。それに比例するように俺の記憶はより明確に、より鮮明に俺を支配し始めた。  本能寺の変の夢を見るようになったのは中学3年生の冬だった。きっかけは分からない。受験勉強で知識が補強されて脳裏に染みついたからか、それとも。
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