オバケのいる家

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オバケのいる家

「おとうさん、オバケってなに?」  おかあさんがいなくなってから、今日もおとうさんと二人で夜ご飯を食べている。 テレビでやっていた、よく分からないソレをおとうさんに聞いてみると、おとうさんは少し困ったような顔になってから教えてくれた。 「オバケっていうのはね、真っ白い服をきていて、怖くてイタズラばっかりして、みんなを困らせる奴なんだよ」 「…怖いの?」 「大丈夫。お前が良い子にしていたらオバケはいなくなっちゃうから」  おとうさんはそう言って、頭をなでてくれた。  けど、おとうさんは嘘つきだった。  良い子にしていたのに、この前から家にオバケがやってきた。  おかあさんがいない間、ずっと良い子にしてたのに。おかあさんが家にオバケを連れてきた。  だから今、家の中にはオバケがいる。  真っ白い服を着て、イタズラをしたり夜中に大声を出してみんなを困らせる。だけどちっとも怖くはない。オバケは全然怖くない。みんなを困らせるだけだった。  オバケはおもちゃを持って行く。  オバケは頑張って書いたお絵かきをビリビリにする。  オバケはみんなを困らせる。おとうさんとおかあさんを困らせる。  だけど、おとうさんとおかあさんはオバケにばっかり構っている。  オバケはおとうさんとおかあさんを取っていく。  ちょっぴり嫌になったから、おとうさんとおかあさんに聞いてみた。 「ねえ、オバケはいつになったらいなくなるの?」 「オバケじゃないよ」 「いつになったらいなくなるの?」 「これからはずっと一緒だよ」  オバケはずっと家にいるらしい。  真っ白い服を着て、イタズラばっかりしてみんなを困らせる。  オバケは大きな声を出す。  あんまりうるさいものだから、オバケのいる部屋に行ってみる。  オバケはおかあさんのおっぱいを食べていた。  そして、いきなりこっちに振り向くとニコニコ、ニコニコ笑っていた。  真っ白い服を着て、怖くはないけどイタズラをしてみんなを困らせる。  おかあさんが病院から連れてきたオバケは、これからずっと家にいるらしい。
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