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この日から…咳は続いたけど、体調は少しだけ良くなった気がする。
新しい同室のトイプードル…柚子吉のお陰で、私は…私の人生は救われた気がしたのだから……。
それからまた…かなりの月日が経ったと思う。
「ゴホッ…ゴホッゴホッ……!」
「りんごさん…呼吸を落ち着かせましょう……!」
「あ、ありがとね…い、今まで……」
「な、何言って……」
「あなたが…柚子吉が来てくれたお陰で…た、楽しかった……」
「や、止めてください…!諦めないって約束したでしょ……!」
「ハァハァ…あ、諦めてないよ……けど、言える時に言って…おきたい…から……」
「ダメです…ダメですよぉ……!」
「柚子吉…き、聞いて……」
「聞きません、聞きません…聞きません……!」
ダメだ…頑なに拒んでる。
柚子吉…頑固だなぁ……。
「おい!柚子吉…聞いてやれよ!」
「そうだぞ…!林檎の話を聞け!」
「…え?」
周囲の檻の犬達は…皆、私達の会話を毎日聞いていたようだった。
「柚子吉…!俺達も諦めねぇ……だけどな。林檎の話だけは…それだけは聞いておけ……!」
「あぁ…悪いことは言わねぇから…聞いとけ……!」
「み、みんな……」
ふふ、なんだろう。
何か今…とても幸せだよ……。
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