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その檻に入れられて数時間。
おしっこがしたくなった。
「あ、あの…」
「……」
「す、すみません…」
「話し掛けてくるなって言ったろ…?」
「ご、ごめんなさい…で、でも……」
「…なんだよ」
「お、おしっこ……」
「あぁ…適当にしてくれ」
「……は?」
「ここはそういう所なんだ」
その言葉を聞いた私は自身の耳を疑った。
だが…疑ったところで現実は変わらなかった……。
そこではトイレなんて物はなかった。
それどころか…一日に決められたご飯なんてものはない。
忘れられる事もある。
だが一番辛かったのは…散歩もなく一日中、その檻から出されないという事だった。
一日中出されない…という事は一生その場所にいる……という事だった。
地獄だった。
私が何をしたのだろう…?と思った。
同室の方に声を掛けても静かなまま…人間は一日に数回入って来る位。
その数回にご飯を雑に檻の中へ放り込むだけ…愛情の欠片もない。
冷たいあの人と同じような目をしていた。
そんな生活が何日も何週間も…何ヵ月も続いた……。
気付けば、私の心は無くなってしまっていた…。
隣にいた、同室の方と同じように言葉を発する事をしなくなっていった……。
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