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『……ん?』
そんなある日。
珍しく中に入ってきた人間は私の檻を見る。
何か気付いたのだろう…その歩はどんどん近付いて来て檻のドアに手を掛け始めた。
お姫様の時、いえ、もっと昔の私なら何かしら反応があるのだろうけど…もうそんな気力もない。
私はただ、その人間の行動を目で追っていただけだった。
ドアが開いても変わらない。
『おいおい…なんだよ、死んでるじゃねーか……』
「…え?」
同室の方は静かに息を引き取っていたみたいだった――。
『はぁ…仕方ないな』
冷たい視線だった…悲しいという感情ではなかった。
ううん、感情なんて物はその人間からは感じなかった…まるでこれが仕事だからというような作業染みた動きだった。
その人間は…同室の方を抱き抱えると静かに私の檻のドアを閉め、去っていった……。
「そっか…亡くなっていたんだ……知らなかった」
私は…同室の方の死を哀れむより、私もいつか死ぬのかな……?という不安が大きくなっていった。
「まぁ…それもありかな。こんな所でずっといるより…そっちの方がいいのかも……」
私は諦めていた。
諦め、生きることを考えることを止めた。
それから何日経ったか、何週間、何ヵ月経ったか分からなくなったある日。
新しい仲間が入ってきた。
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