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「あ、あの…ここは何処ですか……?」
その犬は非常に不安そうだった。
プルプルと小刻みに震えている。
『お前は…ここだな』
その犬は私と同じ檻に入れられる事になった。
人間が去り、その犬は…トイプードルだった。
とても不安そうな表情は継続されており、びくびくと体を萎縮させている。
「あ、あの…」
「……」
「す、すみません…」
「…なに」
「お聞きしたいことがあるのですが…」
「……」
「あ、あの…」
「うるさいな…なに」
「と、トイレは何処でしょう……?」
「ないよ…そこら辺でしな」
「……え?」
デジャブだった……。
いつの間にか私も、同室にいた、亡くなってしまった犬と同じような行動をしていたのだ。
「う…うぅ…うわぁぁぁぁん……!!」
ただ、一つ違ったのは…このトイプードルは五月蝿かった。
「……」
「うわぁぁぁぁん…!」
「……」
「うぅ…うわぁぁぁぁん……!」
「うるせぇ!おいっ!そこの奴、そいつを黙らせろっ!」
違う檻からも苦情が入る……。
「なんで私が……」
「うるせぇんだよ!」
「分かったよ…」
生きるのも、声を出すのも、何をするのも面倒になった私は…渋々そのトイプードルに話し掛けた。
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