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五月蝿いとは思ったけど、他の檻にまで聞こえる程ではなかったし…私だけ我慢すれば良いと思い始めた。
「ゴホッ…ゴボッ…ホッホッ……」
それから暫くの月日が経ったある日。
私の体に異変が起き始めた…お腹は異様に膨らみ、自身の体を支える事が出来なくなってしまった……。
咳も出始めて―――私は前にいた同室の犬を思い出した。
そうか…今度は私の番なんだ……これで楽に、楽になれ――――そう思った時だった。
「だ、大丈夫ですか……!?」
トイプードルが話し掛けてきた。
「だ、大丈夫だよ…」
「ほ、本当ですか……?すごく辛そうですよ……?」
「大丈夫だって…ゴホッ……」
「せ、咳してるじゃないですか…ま、待っててください……!」
「え…待ってて……て……?」
トイプードルは背筋を伸ばし口を大きく開いた……!
「すみませぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんんんんんんんっ!!」
耳がキーンッ!とする程大きな声…遠吠えに近い声だった。
「おい!うるせぇよ!」
「なに考えてやがんだっ!」
周りの檻からは…トイプードルに対してクレームが殺到した。
「な、なにやって…」
「私は諦めない…私だけじゃない。皆…皆も助かりたいって思わないんですか……!」
「…は?」
「な、何言ってんだあいつ……」
「私は諦めない…絶対みんな幸せになる為に生まれてきたのに、こんな所で終わるなんて私は認めないし許せない…だから諦めない……!」
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