おんらいん通話

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おんらいん通話

最近、俺のばあちゃんがオンラインでの通話にハマっている。 いわゆる、テレビ電話というやつだ。 俺のばあちゃんは、今年で八十を迎える。 八十になるばあちゃんが、なんでオンラインにハマったというと、テレビの特番で年寄りのオンライン通話が流行ってるという、番組を見てからだ。慣れもしないスマホ(カンタン)をいじり、俺に『おんらいん通話のやり方教えて』と、聞いてきたのが始まりだ。 いまでは、なぜか若い俺よりも、ばあちゃんの方がスマホを使いこなせているのには、驚きを隠せない。 ある日、俺のスマホから見知らぬ電話がかかってきた。 気持ち悪いので、その日は無視した。 また違う日、また同じ番号で知らない電話がかかってきた。この日も電話が切れるまで無視した。 その次の日、朝のニュースで気分の悪い事件が放送されていた。 何やら、隣街で七十代のばあさんが家の物置で、遺体として見つかったらしい。 手にはスマホが握られていて、画面が割れていたという。 「嫌事件ね〜。母さんも気をつけてよ?」 「大丈夫だよ。心配せんな」 * * * 夕方、部活の帰り道、ポケットに入れていたスマホが鳴り出した。 スマホを見ると、また知らない同じ番号がかかってきていた。 俺は、流石に腹が立って、電話に出ようとした時、派手な爆発音みたいな音が聞こえてきた。 「何の音?!」 着信は切れて、俺は走って音がした方へ向かった。 十字路の交差点で交通事故が起きていた。 あたりは、野次馬で集い、何人か事故現場をスマホで撮影している人がチラホラいた。 十字路の真ん中には、大きなトラックが横転していて、トラックの荷台の下に人が下敷きになっているが見えた。 「……ゔっ……た、す、け、て」 年老いたじいさんが、血だらけの手で救いを求めている。そのそばには、スマホが落ちていた。 俺は、怖くなり、走って家へと逃げ帰った。 「あら、おかえりって! 何、どうしたの?」 「か、母さん、近くの十字路で事故が……。じいさんが助けを……」 「落ち着きなさい。大丈夫よ。大丈夫。落ち着いて」 母さんに抱きしめられ、俺の気持ちは落ち着きを取り戻した。
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