プロローグ

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 ずっと旅を共にしてきたから、ここでお別れするのは寂しいけど、袋二つを持って歩くのはちょっとシンドいわよねと思い。まりんは今までの袋の中身を、新しい方に入れ替えた。それから少し考えて、やはりこれまでの袋も小さく折りたたんで、新しい袋に入れて持っていくことにした。……また、何かを入れるのに使えるかもしれないものね。ラスボスを倒した帰りに、お土産を入れていくとかね。うん。 「お待たせしました~」  まりんはそう言いながら、小部屋を出て皆の前に姿を現した。小部屋の外では、レーソスやエーディン、そしてダクタが、まりんが「戻るのを」、にこやかに微笑みながら待っていた。  その顔ぶれを見たとたん、まりんは本当に泣き出しそうだった。そして心の底から、「戻って良かった」と思えた。戻らないという選択肢もあったけれど、やっぱりここへ来て正解だったのだと。……しかし。 「あれ、まりんちゃん。なんかちょっと、綺麗になってない? 小部屋にいる間に、何かの魔法を使ったのかな?」  エーディンは少し不思議そうな顔をして、しかし相変わらずの冗談交じりでそう言った。……さすがエーディンさん、そういうところは鋭いわよね~……! 向こうで、家のシャンプーとボディソープで体洗って、しっかり洗顔とかもしてきちゃったからね。確かにここに来る前よりも、お肌ツヤツヤになってるのかもね。 「お、それは新しい物入れですか? あまり見かけない感じの、でも素敵な物入れですね、うん」  エーディンに続いて、まりんの持っている袋を見たダクタも、そう言葉を続けた。……そ、そうよね、出来るだけ地味なのを選んだつもりだったけど、こちらでは見かけないデザインよね……。新しい袋を持って顔を見せただけでこれなのだから、やはりシャンプーとボディソープは、持ってこなくて正解だったと思うまりんであった。
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