【 第六話: 岬を助けて! 】

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 その日の部活では、全く練習に身が入らなかった。 「ねぇねぇ、加奈。今日の岬、一段とおかしくない?」 「そうなのよ。何か朝からだらしない顔して、目も(うつ)ろで、心ここにあらずって感じなのよ」 「どうしちゃったのかな~?」 「さあ、これが『』っていうやつなのかもね……」 「岬、ボール行ったよーっ!」 『コツーン!』 「あれれっ? なんらか頭にあらったかなぁ~……、ふにゃふにゃふにゃ~……」 「ダメだこりゃ……」 『キ~ンコ~ン、カ~ンコ~ン……』  私は部活の練習をしていたのか、していなかったのか、あんまりよく憶えていない。  いつの間にか、練習時間が終わっていた。  慌てて着替えると、時夢くんが待っている校門まで自転車を走って押していった。 (早く時夢くんに会いたい……)  すると、彼は――  そこにはいなかった……。 「えっ? ウソ? 時夢くんがいない……。えっ? 何で? 何でいないの……?」  私は辺りを見渡し、時夢くんを探したが、彼の姿は見つからない。  いつも校門の外で待っててくれる、彼がいないことに、私は動揺していた。  いつもだったら、やさしく「岬ちゃん、お疲れ!」って、言ってくれるあの時夢くんがいないなんて信じられなかった。  時間を間違えたのかと思って、学校の時計を見たが、12時をまわっている。  彼は時間に遅れたことは一度もなかったし、いつも先に待っててくれるやさしい人だ。  だからこそ、何故いないのかが、私の小さな脳みそで考えても、その答えが出てこない。  私は、少し不安な気持ちが大きくなっていた。 「た、時夢くーん! 時夢くーん!……」  何だか、急に悲しくなってきた。  なぜなら、彼の家も知らないし、彼がどこから来ているのかも分からなかったから、何か事故にでも遭ってないかと心配にもなったから。 「ど、どうしよう……。何で、時夢くん、いないんだろう……。ううぅ……」
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