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【 第六話: 岬を助けて! 】
時夢くんと出会って初めての土曜日。
私は、部活の練習に行くため、朝早く家を出ようとしていた。
すると、時夢くんは、今日も私を迎えに来てくれた。
「おはよう、岬ちゃん!」
「おはよう、時夢くん。(やったーっ! 土曜日だけど今日も来てくれたんだ~。今日も時夢くん、かっこいい~!)」
「今日は、部活の練習?」
「うん。午前中だけ」
「午後からは、部活ないの?」
「うん。午前中で終わるの」
「そうか、さあ、いつものように後ろに乗って!」
そう言って、自転車を長い足で跨いで、親指を後方へやる。
「うん! ありがとう。時夢くん」
私はいつもの特別な指定席へと座る。
「行くぞ~!」
「きゃあーっ! いきなり速いよーっ!!」
「ちゃんと掴まってないと、振り落としちゃうぞーっ!!」
「やだぁーっ!!」
「はははは……」
私は朝から大好きな時夢くんの背中にしがみ付いて、笑いながら顔を密着させていた。
時夢くんは本当にたくましい体をしていて、テニスの全国大会へ行ったことがあるだけあって、お腹に回した手からも、筋肉が盛り上がっているのが分かった。
時夢くんの体から漂う、やさしくて爽やかな香りを嗅ぐのが私は好き。
時夢くんは、本当に、田舎者の私には、もったいないくらいの男性だ。
こうして、大好きな彼の背中に密着出来る私は、本当に幸せ者だと思う。
「加奈ちゃん、おはよう! お先ーっ!」
『ヒューン!!』
「加奈、部活でねー……」
「今日も岬たち、アツアツじゃん……」
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