【 第六話: 岬を助けて! 】

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『キキーーッ!』 「岬ちゃん、着いたよ!」 「あ、ここって……」 「そう。こんな田舎に新しく出来た『』」 「こんなのこんな所に出来てたんだ……」 「田舎だからね。土地が余っていたんじゃない?」 「そ、そうかもね……。うふっ」  私たちは早速、チケットを渡して入場してみた。 「なんか意外と大きくて、難しそう……。ほんとに出口までたどり着けるかな……?」 「ははは、迷子になるなよ、岬ちゃん」 「う、うん……」  その巨大迷路は、板で仕切られていたり、木で仕切られていたりしていた。  背の低い私は、当然その仕切りの上から先を見ることが出来なくて、ちょっと閉塞感すら覚えるほど。 「ドキドキするけど、何だかちょっとこわい……」 「大丈夫だよ、岬ちゃん。こっちへ行ってみようか」 「う、うん……」  その迷路はいくつも分かれ道があって、全くどうなっているのか分からない状態だった。  すると、彼が急にこんなことを言い出した。 「ねぇ、岬ちゃん。僕こっちへ行ってみるから、岬ちゃん反対側へ行ってみて」 「えっ? 時夢くんと別れちゃうの?」 「大丈夫、僕この先走って見てくるから、岬ちゃんは反対側を見てきて」 「でも、私、時夢くんと離れちゃうの何だか、こわいな……」 「ははは、大丈夫だよ。ダメだったら、すぐに戻ってくるから。じゃあ、僕走って見てくるね」 「う、うん……」  そう言うと彼は、私と反対側の道を進んでいった。  私は不安だったけど、彼の言う通り、彼とは反対の道を進んでみる。  入り口はまだ多少広かった道幅も、何故だか段々と狭くなっているように感じる。  それと同時に、両側の塀も圧迫感を感じるようになってきた。 「な、何か狭くて、高い……。ほんとに出口までたどり着けるのかな……?」  しばらく進んでみると、そこは壁があり、行き止まりだった。 「あれっ? 行き止まりになってる……。戻らなきゃ……」  またしばらく歩いていると分岐があり、その先を進むと、また行き止まりになっている。 「あれ~、また行き止まりだ~。何で……?」  私はどんどん不安になっていった。  今自分がどの辺りにいるのかさえ、もう分からなくなっている。  右に行っても、左に行っても、また行き止まりで、私は完全にこの巨大迷路の中で迷子になっていたんだ……。
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