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翌日。
昼休み──天気がいいという事で、屋上で昼食を摂ろうと馴染みのメンバーで集まることになった。
月冴が下宿するようになり、分量は加減されているが彼と同じように弁当を持ち込むようになった。今日も例外なく弁当を持参したが、昼食を摂る前に購買に寄ると言い、単身赴く。
先日月冴が「美味しそう」と言っていた商品が一介の、しかも男子校の購買に入荷している可能性は極めて低い。しかし、登校前や下校途中に彼とコンビニに寄るのは面白くもなんとも無い。どうせなら、意表を突いて普段とは違う顔を見てみたいのだ。
(えっと……ピンクの箱……ピンクのジーナ……ピンク……)
もともとうろ覚えな商品名が余計曖昧になりかけた頃、ようやく目的のものを限られた品数しか陳列されていない棚の中から見つけることができた。
平らな箱の角を掴んで一枚取り上げる。レジで会計を済ませ足早に屋上へと向かう。防火扉を開けるとフェンスの手前に並べられたベンチの一つに、いつものメンバーが集っていた。
「尚斗遅かったね、購買混んでた?」
「まぁ」
「昼飯どきだもん、しゃーないわな」
「さて、俺たちも飯食わないと、昼休みが終わっちゃうぜ」
月冴をはじめ、亮平や昭彦が口々に言うもので、月冴にどのタイミングで買ってきたチョコを渡そうか、思案するまもなく弁当をひろげる羽目になった。昼食をつつきつつ、他愛もない話に花を咲かす。
話題はやはりバレンタインのことで、先日テレビでやっていたリポートを、二人も見ていたらしい。あのブランドのチョコがどうのこうのと、話は尽きないようだった。
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