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えっ。
ええええっ⁉︎
嘘ーーーっ!! 惚れ薬、効いてるーーーっ!!!
私は天にも昇る気持ちになった。部長が見ていなければ、その場でタップダンスを踊っていたかもしれない。
薬のせいだったとしても、部長に可愛いって言ってもらえた!
これが喜ばずにいられようか。いや、いられはしない!
一人でヒートアップしていた時、部長が呆れ顔で何かを呟いた。
「……やれやれ。惚れ薬の正体はただのジュースだったのに。こんな馬鹿げた暗示に引っかかるとは、単純というか素直というか……」
「えっ? 部長、今、何か言いました?」
部長は「別に」と私に背中を向け、自分の研究ノートを開いた。
【田宮くんに惚れ薬の暗示をかけて、俺のことを好きだと言わせる実験】
「成功、と」
部長が幸せそうに微笑みながらノートに何か書き込んでいるのを見て、私もなんだか幸せな気持ちになる。
また新しい研究でも思いついたのだろうか。
やっぱり部長は研究に打ち込んでいる時が一番カッコいい。
「さあ、そろそろ次の実験を始めようか」
部長は私を振り返り、キラキラした笑顔でいつもの言葉を口にする。
「はい!」
私は満面の笑みでそれに応える。
こうして今日も楽しい時間が始まる。
これだから化学はやめられない。
終
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