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「園子さん、しばらく来れないみたいですよ」
心配になってメッセージを送ろうとしていた手を止める。なんで鏑木には連絡が来てるんだよ。
「しばらくってどれくらい?」
「わかりません。ご自分で聞いたらいかがですか?」
「俺には連絡来てないんだよ。聞きづらいだろ」
「あら。どうしたんでしょうね。店長何か怒らせるようなことしたんじゃないですか?」
自分の行動を振り返ってみても、心当たりがなかった。
「後で連絡取ってみたほうがいいですよ。さ、今は新メニューのほうに集中しましょう。残業代出ないのに協力してあげてるんですから、さっさと終わらせましょう」
気がかりなまま、厨房に戻って準備をする。今日はハンバーグに挑戦しようと思う。まずはいつものハンバーグとソースを用意する。ソースに少しずつビターチョコレートを足して、味を確認しながら適当な配分を確認していく。
「鏑木、味見してくれ」
「……うーん、これ本当にチョコ入れました?」
「一応、少しだけ。何が違ってるのかよくわからないな。もう少し足してみるか」
ソースを火にかけ、チョコレートを割り入れて溶かし、スプーンに掬って味見する。微妙な差だが、先程よりコクが出たような気もする。ハンバーグを一口大に切って、ソースをかけてみる。
「悪くないですね」
「そうだな。一応もう少し足したものも試してみるか」
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