満月の夜に

2/6
前へ
/11ページ
次へ
「あ、」 気づいたら目線が下にいっていたらしい。 ふと顔を上げると、公園が目に入った。 少し休んでいこうという気持ちと、この世界に一人しかいないのではないかという感覚をもう少しゆっくり感じたいと思った。 「世界に一人か、」 それもいいかもなと、思った。みんなの中から、世界から消えたいと思っていたけれど、世界中からみんなが消えて、自分一人。 「さすがにそれはないか、」 少し考えてみたが、一人で生きるには広すぎる。それに、リアルじゃない。 俺の願っている消えるとは違うが、死んで時間が経てば、いずれみんなの記憶から薄れ消えるだろう。家族は、わからないが。 「無理なことだけど、消えたいな」 まっさらに。最初からいなかったかのように。誰の記憶からも綺麗さっぱり。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加