満月の夜に

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年相応ではないような表情。 普通ならこの状況で怖がってないたりしてもおかしくない。 というか、普通は怖がる。 なのに、目の前のこの少女は怖がるような表情も素振りもない。戸惑っている様子もない。落ち着いている。怖いくらいに。 「きみは、どこから来たの?」 家出か?それにしてはなんか違う。 「、、、別に」 「へ?」 少しの沈黙の後少女はそう答えた。 別に?別にって、そんなわけは無いだろう。 「名前は?家出か?」 一気に問いかけすぎたかと思いながら、言葉が返ってくるのを待つ。 「、、、月歩。家出じゃない」 少女は月歩(つきほ)という名前らしい。 家出じゃない、となるとほんとになんだ。 「家なんてない。家族なんて居ない」 ますます混乱する。どういう事かさっぱりわからない。 「私は人間じゃないから」
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