満月の夜に

5/6
前へ
/11ページ
次へ
人間じゃないから。 いやいやいや、人間だろ。どっからどう見ても。もしかして、そういう感じの子なのか? 「私は十五夜」 「十五夜?」 「そう、月の子」 十五夜って、あれじゃなくて? 月の子ってなに。 「十五夜は、満月の夜に生まれて新月の夜に消える」 「消える?」 「そう、消える。私たちには死ぬという概念はない」 信じ難い話ばかりだ。 言っていることは理解できたが、現実味がない。 「、、、消えたらどうなるの」 「また満月の夜に生まれる」 相変わらずの無表情。 「それまでの記憶はない。でも、同じ姿で」 それでも不安そうに見えないのは、ただこの少女が隠すのが上手いのか、はたまたそれに慣れてしまって感じていないからなのか。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加